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ごあいさつ

「一般社団法人hopuni project」代表理事・ノンフィクション作家

本田 信一郎

空の雲

日本の犯罪被害者等のための法整備は、2004年の「犯罪被害者等基本法」制定以降、進んできましたが、現実的な支援・援助の体制や活動内容は、いまだに世界標準からは立ち遅れています。

 

その違いのひとつは、日本では事件発生直後に被害者等の元に急行して、適切な初期対応にあたる『危機介入(危機応答)』がなされていないことです。

アメリカのある民間援助団体は、24時間体制で、緊急連絡を受けると2人がチームで急行して72時間被害者に寄り添い、職場や学校への連絡、病院の診療や警察の事情聴取への付き添いを始め、家族の生活の維持(食事、介護、育児など)に必要な援助策をコーディネートします。

身体的被害だけでなく、精神的被害にも応急手当は必要だからです。

この72時間以降は、被害者と共に様々な問題を解決しながら伴走する「切れ目のない援助」が、おおむね3年間継続されます。

日本の民間援助団体の中には、少し時間が経ってから被害者の元を訪ねる所もありますが、自治体も含め『危機介入』という「入口」は開かれていないのです。

 

また、決定的な違いとして、日本には国による『補償制度』がありません。

あるのは「犯罪被害者等給付金」という「見舞金的性格の一時金」なのですが、たとえば、死亡(遺族給付金)では、《故人の年収と扶養家族が多いと高額で、無職や学生で一人暮らしの人などは低額》になります。さらに《被害者にも犯罪発生の責任があった場合は不支給や減額、労災など他の公的給付を受けた場合などは金額を調整(減額)される》などの査定基準があり、適切な補償とはいえないのです。

精神的被害はいうに及ばず、多くの被害者が経済的に困窮して、家庭崩壊や社会から孤立してしまうのが実情です。

 

以上、問題の一端を記しましたが、様々な問題を集約すると「なるべく早く社会生活に復帰するには何が必要か」が重要になります。欧米では、その前提として「被害者の社会生活からの離脱は社会全体の損失」という考え方があります。言葉を替えれば「被害者が自主性(主体性)を回復するために、取り戻せるものは全て取り戻せる種々のツールを社会(官民)で用意する」ということです。

これが、まだまだ不十分なのです。

 

このような様々な課題を被害者、遺族の方々と共に発信しながら『同じ苦しみが繰り返されず、被害者が救われる社会』の実現に取り組みます。

被害者になることは、誰も自分で選べないのですから・・・

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ご支援いただき、ありがとうございます。

寺田 真治 様 後藤 信広 様 田上 敦士 様 Mitsuru Tomita 様

《プロフィール》

 

1959年、熊本県生まれ、

「日本ルーテル神学大学(現ルーテル学院大学)中退。フリーアナウンサーを経て、1990年からおよそ16年間、TBS・フジテレビの情報番組(ワイドショー)のリポーターとして、全国の事件・事故・災害現場を取材。1997年の「神戸連続児童殺傷事件」をきっかけに、犯罪被害者問題の取材、執筆活動を開始

※主な取材対象

「犯罪被害者」「犯罪」「司法」「アイヌ民族文化」「環境」 他

〈主な著作など〉

「モノクローム クライシス~犯罪被害者・忘れられた人々の声~」(平和出版2002年)

「淳 それから」(新潮社2005年)※「神戸連続児童殺傷事件」遺族、土師守氏と共著

「北嶺の魂~日本の中等教育に新風を吹かせた人~」(文藝春秋企画出版部2016年)

「株式会社富士メガネ 海外難民視力支援活動35周年記念誌・DVD」

「株式会社富士メガネ 創業80周年記念誌」

「岩田地崎建設百年史」

「野口観光 野口秀夫会長追悼映像」 他

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